陰りのある女性
「誰がデリバリーやねん!」
ある夏の日、大阪は難波にある道頓堀で若い女の罵声が聞こえた。
「どんなツッコミやねん」
とか少しおかしく思いながら声のする方に行ってみることにした。
今日はハローワークもないし、のんびり街でもぶらつこうかなと思ってた矢先だったから、ひまつぶし感覚だった。
やはり人だかりができている。
「どれどれ・・」
野次馬根性丸出し、心はおばちゃんやなとか思いながら背伸びしてトラブルの様子を見てみた。
女と男がマジゲンカしていた。
「お前なんかもう知らん!」
「オレも知らんわ!!」
どうやら別れ話のようだが、かなり血の気の多いカップルだなとか思って見ていた。
先に男の方がその場を去り、女はその場に座り込んだ。周りにはまだ野次馬がいたが、先程の喧嘩を見たので、誰も話かけようとしない。
一人になってからの女は少し寂しそうに、下を向いて座り込んでいた。
よく見ると、綺麗な女性だった。
「まぁここは男として・・」
なぜか勝手にそう思い、女性に声をかけてみた。
「大丈夫ですか?」
「は?ほっとけや、ハゲ!!」
(えぇぇーー??)
思いもがけない言葉にオレは一瞬何が起こったのかもわからず、ボー然としたあと、我に返り、話かけたことを後悔しながらその場をあとにした。